治験神話ビデオ 4: 治験に参加しようとすると資格がないと言われる

4G Clinical は臨床研究における定説的な神話を暴く一連の教育ビデオを通して、治験リテラシーを向上させるCISCRP (臨床研究参加に関する情報 & 研究センター)に協力出来ることを誇りに思います。これらのビデオでは、 患者、実施施設、試験依頼者、業界関係者の視点で問題を取り上げ、治験を取り巻くさまざまな誤解に正面から取り組んでいます。

定説的な治験の神話を暴くビデオ シリーズの 4つ目では、イーライリリー社 (Eli Lilly and Company) のジョセフ・キムが患者の資格と採用過程における厳密な採用基準について語ります。

 
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こんにちは、ジョセフ・キムです。私はイーライリリー社(Eli Lilly and Company) の臨床開発部門で働いています。また、同社のポッドキャストである Elixir Factor の主催者でもあります。そこでは科学に関する番組、革新のきっかけになる物語、そして歴史を変える際に必要な精神のあり方をご視聴いただけます。

本日は臨床研究についてお話しします。実際、臨床研究に関する神話がいくつもあり、その 1つは「治験に参加しようとすると、たいてい実施機関から資格がないと断られる」ので不公平だという話です。個々の患者は不公平を感じるかもしれませんが実際にはかなり公平です。これからその意味を説明します。

治験参加者を選ぶに当たっては、かなり厳密な基準を設ける必要があります。何かを公平に試験するには、特定の集団をひいきにするのではなく、候補が参加可能かどうかについての厳密な基準がまさに必要です。

理解しやすいように例を示しましょう。

ジョー・キムのエクササイズ ルーチンと呼ばれるトレーニング方式を発明したとします。通常の食事療法や運動よりも効果があり、クロスフィットやズンバ、その他どのトレーニング方式よりも優れていることを証明する目的でhead-to-head試験による比較を実施しようと思います。そのためには、ボランティアを雇う必要があります。その際、仮に参加資格の基準を設けなかったとしましょう。 プロのアスリート、過去 10年間ソファに座りっぱなしだった人たち、10 代の若者、高齢者、病人、健康者を勧誘します。例えば全員をhead-to-head試験に招いたとします。うち半分は私のエクササイズ ルーチン、残り半数はズンバとダイエット運動をしてもらいます。そして試験後に、私のルーチンをこなした全員の体重が 10kg 減ったとします。 この研究の落とし穴に気付き始めた方もいると思います。なぜなら、まず知りたいのは誰が試験を受けたかです。 エクササイズ ルーチンの集団にいたのは誰でしょう。全員がアスリートでしょうか。それとも全員が高齢者でしょうか。それとも、過去 10年間まったく運動しておらず、体重が 10kg 減って当然の人たちでしょうか。エリート アスリートの場合、すでに鍛え上げているので、体重は減ったとしても 1〜2kg です。

年齢やその他の条件が多様な参加者を均等に振り分ける配慮をしない場合、当然ながらトランプのいかさまと同じで、10年間運動していない全員を私のルーチン、アスリート全員をズンバとダイエット運動に割り当て、片や 10kg 減量、片や減量ならずという結果を導けます。

あまり公平とは言えませんね。この例は何を意味するでしょうか。つまり、存在しえない特定条件の完璧な患者を探せということでしょうか。そうではありません。私たちの業界は、往々にして、希望に合うほど現実的ではない資格基準を作成します。しかし、世間一般に認めらる程度に現実的です。そのようにして、求める患者のプロファイルを作成することが重要です。例えて言えば、道に迷ったときに道を尋ねてくる人を探すべきではありません。そのような人々は存在しません。手に入らない事実を無視し、森から抜け出せるまで輪になって走るようなものです。

要は、誰が特定の試験に参加できるかについて厳密な基準を作成しないと、本当に薬が効いたのか、それとも参加者の種類に左右されたか、真実は明らかにならないということです。結局のところ、世界で最も不公平なことは、本当は効かない薬が認可を受け、もっと悪いのは本当に効く薬が認可されないことであると私は思うからです。

以上が実験計画、および研究に採用する患者さんの選定に関するすべてです。ご参考になれば幸いです。